2008年10月アーカイブ

日本酒が大好きなジョンです。
私が日本酒と出会ったのは、来日した20年前の夏になります。
もともと酒は好きで、アメリカではビールやワインを飲んでいましたが、
ただし、バーボンやスピリッツは体質的に合わないというのか、
あまり好きになれない酒でした。

横浜で暮らし始めた私が最初に飲んだ日本酒は、お銚子に入った熱燗です。
「温めて飲む」という世界的にも類稀な味わいに、変わった酒だなぁ、
これが日本ならではの食文化なんだなぁと、妙に感心したことを覚えています。
やがて私は、二〇代半ばにして、日本の典型的な"おやじさん"と化し、
夕食時にはビールをプハーッ、そして熱燗をちびちび。
母が南イタリア系なので、ゴントナー家では魚介類を使ったイタリア料理が
おふくろの味。そんなこともあって私は肉より魚派。
日本は魚そのものがおいしいから、熱燗と魚さえあれば、とても満足だったのです。

そんな私に一撃必殺のパンチを食らわせたのが、初めてのお正月でした。
年末にデパートに出かけたところ、お正月用の日本酒のボトルがずらり並んでいます。
それを見た私の感想は......。
「どうせ燗をつけてしまえばどれも同じような味わいになってしまうし、
酔うために飲むのに、そこまでこだわる必要なんてないじゃないか」
そして年が明け、元旦を一緒にと招いてくれた尊敬する先生のお宅に伺うと、
その方は酒瓶が5本入った籠を大事そうに抱えてきたのです。
「日本酒を飲みましょう」
勧められるままに冷や酒を飲んだ途端、目から鱗が!
恥ずかしながら、熱燗ではない酒を飲んだのはこのときが初めてです。
地酒を味わったことも、飲み比べる楽しさも初体験でした。
「これはすごいぞ。これからは日本酒だ」
私の人生観が、音を立てて変わった瞬間です。

以来、知れば知るほど魅了される日本酒。その魅力の源を深く考えたとき、
日本固有の「ほどほど」加減が酒のおいしさを育んでいることに気づきました。
異文化に育ったアメリカ人が抱く印象に過ぎないかもしれませんが、
大好きな言葉「ほどほど」をキーワードに、
日本酒のすばらしさ、日本のよさを伝えていきたい、と考えています。

プロフィール

ジョン・ゴントナー John Gauntner
1962年、アメリカ・オハイオ州クリーブランド市生まれ。88年、文部省主催の「JETプログラム」で来日し、神奈川県の公立高校で英語を教える。その後、エンジニアとして勤務する傍ら、日本酒を海外へ紹介する活動を開始。98年よりその日本酒の普及活動に専念する。現在は日本酒輸出協会理事、日本酒輸出のコンサルティング、国内外での講演、新聞や雑誌への寄稿、在日外国人のためのSakeセミナーなどを精力的に行なう。著書に『The Sake Handbook』(英語)などのほか、『日本人も知らない日本酒の話』『日本酒がうまい大人の居酒屋』がある。

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