皆さん、あけましておめでとうございます!
たった一日、日付が変わるだけなのに、
すがすがしく新たな気持ちになれるのは
本当に便利で(?)、嬉しいことです。
今年もたくさんの方たち&美酒との出会いがありますように!
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さて、この年末年始、
僕は故郷のオハイオ州クリーブランドに里帰りしていました。
両親もだんだん歳をとってきているし、
少しの間でも家族と一緒に過ごしたいと思い、
スーツケースにお土産を詰めこんで、日本とは正反対のタイムゾーンへ。
着いた日は極寒の天候。
たぶんマイナス20℃くらいで、降りしきる雪がうなる波のように見えたほどでした。
そんな寒さのせいかは知りませんが、
仕事用に持ってきた愛用のノートパソコンがいきなり故障。
うんともすんとも言わなくってしまい、修理不可能に。
しょうがないので親父のパソコンに日本語環境をセットして、
なんとかメールだけはやれるようになり、
新年のメッセージをこうやってお届けできる次第です。
さて、この帰省を利用して、酒を飲みに行ってきまし
た。ミネソタ州ミネアポリスへ!
ん?何故、日本酒でミネアポリス!?
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、
なんとニューヨークでもサンフランシスコでもなく、
ミネアポリスに北米初の"SAKE BREW PUB"、
つまり、その場で造ったSAKEを
すぐに飲ませてくれる店が誕生したのです。
その名は「MOTO-I」(モト・イ)。
MOTOというのは「基」で、Iは居酒屋の「居」から。
その名づけ方からしても、なかなか日本では思いつかないような
奇抜なアイディアにあふれたこの店のオーナーは、
ほかに地ビールパブも経営するブレイク・リチャードソン氏。

もともと旨いビールをつくる技術を持っている彼だからこそ
成し遂げられたのかもしれないけれど、
その情熱には、僕もただただ圧倒されるばかり。
何年も前に「SAKEを実際に造ってみたい」と
僕にメールをくれて以降、
熱心に勉強を続け、僕の「5日間酒セミナー」にも
3度も参加してくれた。
さらに、さまざまな機関から情報集め続けること足かけ7年。

2008年10月、ついにオープンにこぎつけたのだ。
店の裏で酒造りをしているのは彼ともう一人、
カナダ出身のエリース・ジーさん。
彼女もまた日本酒が好きで好きでたまらなくて、
やはり僕のセミナーに参加してくれた一人だ。
そのセミナーでブレイクと意気投合し、アメリカに移住。
二人で毎日ああでもない、こうでもないと試行錯誤を続けている。
仕込み部屋は、8畳くらいが2室。決して大きくはない。
仕込み樽はワインの用のものだし、
蒸米の機械は厨房用の大きなスープ鍋を利用したものだ。

日本製のヤブタ(圧搾機)以外は、いろいろなもので代用している。
それでも、日本の酒蔵をしっかり真似ていて、
酒造りの工程は確実にカバーできるようになっている。
ただ、麹室はない。
そのため、麹だけはオレゴン州にある「SAKE ONE」という
大きな酒蔵から提供してもらっている。

確かにまだオープンしたばかりだが、店はかなり繁盛していて、
僕が行った日は雪が降る月曜日だというのに、
ほとんど満席状態だった。
他にミネソタの地ビールもそろえているけれど、
アルコール飲料の売り上げの70%は彼らの造るSAKE。
搾った端からすぐに店に出さないと
間に合わないほどの好評ぶりだ。
今、店に出しているのはぜんぶ「生酒」で、
純米生原酒、純米生、純米生にごり、の3種。

それから山廃も仕込んである。
カクテルの要望も多いのでそれに使うための普通酒のほか、
純米吟醸や今年の造りの最後には純米大吟醸にも挑戦してみたいと言う。
ところで、気になるフードメニューは、日本のいかの燻製、
レンコンチップ、ししとうの天ぷらのようなおつまみ系から、
豚の角煮の包子はさみ、餃子、焼き鳥などのおかず系、
人気上昇中の「ドランクンヌードル」という辛いタイ風ヌードルや、
ココナッツグリーンカレーまである。

デザートもアイスクリームのほか、
お餅や沖縄のサーターアンダギーまである。
日本の居酒屋からみると、「え、え~ッ!?」というような
メニュー揃えかもしれないけれど
この店で、できたての生酒を飲みながら気軽に楽しめるものばかりだ。
よく海外で出くわす、"トンデモ系"レストランでは決してない。
それに、値段も安い。
生酒3種セットが12ドル、フードだって一番高くて10ドルだ。
ニューヨークじゃ考えられない値段だろう。
ブレイクが最初にメールをくれたとき、
僕は「不可能じゃないだろうけど、かなり大変だと思うよ」と返答していた。
たとえ酒を造るにしたって、山田錦が手に入る環境ではないし、
熟練の杜氏さんに来てもらえるわけでもない。
それなりのレベルのSAKEを造れるようになるには、何年かかるかわからない。
日本酒は日本で、その文化と歴史と共に、確かな技術によって産み出される。
それは間違いないことだ。
でも振り返ってみれば、日本にだって、昔はビールなんてなかった。
しかし今では、世界レベル的に旨い、キレのある、
そして日本食にぴったりと合うビールが普通に飲める。
だからSAKEだって、そうなる可能性は十分にあるんじゃないだろうか。
いろいろな国に根づき、それぞれが親しんでいるフードや
食スタイルに合ったSAKEが産み出される......。
そんな日が、いつかやってくるのかもしれない。
彼らの造るバランスのとれた搾りたての生酒を飲みながら、
夢のような大きな話に酔いしれながら、2009年は幕を開けた。
John Gauntner