dancyu 編集長の気まぐれ酒つづり 今宵も酔いのくち!

2009年3月アーカイブ

『こどものためのお酒入門』(理論社刊)。

著者は、dancyu誌でもおなじみの山同敦子さん。

 

 

 

なんで子供向けに酒の本?

 

と思ったが、

前文を読むと、「お酒には飲む楽しみとは別に、知って楽しい物語、つまりドラマがあります。それは、お酒を飲まないみなさんも、きっと関心をもてるはず。」とある。

何をどう飲めばいいのか、とか、何が旨いのか、とは違う楽しみ方が酒の世界にはあることに、改めて気づかせてくれる。いろいろな酒の造り手や酒屋さんなど、酒に携わる人の肉声が読めるところも素敵な本だ。

 

 

秋田の浅舞酒造の森谷康市さんが、山同さんの「どんなお酒をつくりたいですか?」というインタビューにこたえて、

 

「飲んでふっと肩の力が抜けるようなお酒。心が休まるようなお酒です。けんかしたり、闘うような気持ちになるお酒は造りたくない。

 

 

日本酒は「なにぬねの」のお酒。なごむ、にこやか、ぬくもり、ねむる、のんびり......。あったか~くお燗にして、家族一緒のご飯のときに飲めるお酒が一番だと思っています。」

 

 

こんな文章をうちの子供たちにも読ませたいと思った。

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おいしい日本酒を楽しみたい、という人が確実に増えている。

 

というのも、dancyu3月号(2月6日発売)の日本酒特集号が、おかげさまで大変よく売れている。

 手ごたえは昨年末からあった。日本酒特集号のために取材をさせていただいた各地の酒販店さんから、日本酒がよく動くようになりました、という声をたくさんもらっていたのだ。

 

 

よく飲みにいく居酒屋でも、かつては芋を中心にした焼酎が酒の7割以上を占めていたのが、最近は日本酒と焼酎が五分五分くらいになっています、とも聞いていた。

 同じ人が日本酒も焼酎も楽しむ。その日の気分や食べたい料理によって、酒を飲み分けることのできる、いい時代になった、ということでもある。

 

 

今回の日本酒特集で一番伝えたかったのは、料理をおいしくする日本酒があること。もちろん、日本酒だけ飲んでもうまいけれど、料理と合わせることによって、より楽しく豊かな食卓にしてくれる酒がどんどんできていることだ。

 

ある程度確かな旨味をもちながらも、主張しすぎない調和のとれた日本酒、と言い替えてもいいのかもしれない。

 

 

かつて、おいしい日本酒というと、久保田や八海山に代表されるような「軽いすっきりとした酒」か、菊姫などのように濃厚だったり、吟醸系の香りの強い「インパクトのある酒」に二極化されていた時代が長かった。

いまはその中間の、味わい・香りがほどよく、「料理とともにいつまでも飲み続けたい酒」が注目されつつある。これらが日本酒の一つの主役になったとき、新たな日本酒の黄金期が絶対に来る、と思っている。

 

楽しみです。

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プロフィール

dancyu編集長
町田 成一(まちだ・せいいち)

1960年、東京都調布市生まれ。1983年に出版社「商業界」に入社。1990年に「プレジデント社」に移籍。「dancyu」編集部に配属され、創刊に携わる。記者時代はイタリアン、そば、すしなどを担当。1997年に副編集長、2006年11月に編集長に就任。「食こそエンターテインメント」を掲げて今年で18年目の「dancyu」を引っ張りつづける。

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